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2012年5月

2012年5月24日 (木)

PX-BCUDとPX-S1UDの"ドングルファミリー"を、Spinelで有効活用

さて、前記事で予告したPX-BCUDを使ったSpinel構成ガイドについて早速。時間かけてもしょうがないので、まずは書けるだけ書いてみて、不足しているものはあとから書き足していこうと思います。

BCUD自体はシングルチューナなので、これ単体でSpinel使ってネットワーク共有することにメリットがあるの?と思われる方もいるかもしれませんが、Spinelを導入するとその瞬間に、家中のパソコンが古いもの、タンスに眠っていたものを含めて、TVやHDDレコーダーに変身します。

むだなパーツや配線は要らず、アンテナ線が出ている場所に1台、Spinelサーバとして古いノートPCなりを置いてこのチューナを挿し常時ONにしておけば、家中どこでもLANや11nの無線LAN経由で、TVを観たり録画が可能になります。

この辺、普通の家電でやろうとすると何十万円も機材に投資しなければならなかったり、その挙句ガチガチのプロテクトだらけで、今録った番組すら他の機材で自由に観ることもできないようなものしか「与えてもらえない」現実があるのですが、Spinelを導入することによってシンプルにそれらが可能になります。

ちなみに以前の記事でSpinelをご紹介した時は、そもそもはW3U2の4チューナを有効活用したい、というのが私自身の動機でした。Spinelは使用するチューナが増えてくるにつれて、より威力を発揮するようになります。

そこでここでは、BCUD単独で使える手順としながらゆくゆくチューナーを増やしていくことにも対応できるようにし、また同時にいろいろSpinelの便利な(遊べる?)応用もここでご紹介することにしました。

なお、PX-BCUDの全般的な特徴と構成上の注意点は前記事に書きましたので、導入される方は前記事もひととおり目を通していただければ幸いです。

また、設定や利用していく上でのFAQはこちらにまとめてあります。もしうまくいかないことや疑問点があったら、随時参照してみてください。

注)Windows8環境ではWrapperがうまく働かないようで、BCUDのSpinelでの利用は現時点ではお預けになっています。 Win8でも問題なく動きました。BonDriver_BSCS_Wrapper.ini のパス記述に注意するだけです。
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1.まずはSpinelのおさらいから

普段Spinelを使っている方なら何を今さらという話なのですが、一応この機会にということで、まずはSpinelの基本構成と応用を説明します。この辺かなり余談も入ってますので、その辺飛ばしてすぐに設定に入りたいという方はこちらにジャンプしてください。
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1)今回の構成例

今回は写真のように、ドングルチューナーシリーズのPX-S1UDを1個、PX-BCUDを2個を写真のようにUSBハブに挿してPCに接続し、

Bcud_s1ud_usbhub

これを新しいSpinel配下で管理することにしました。(言わずもがなですがこういう構成の場合、USBハブはセルフパワータイプにして、各ポートにしっかり給電できるようにするのが必須です。)

概念図としては以下のようになります。

Spinel01

ここでクライアントと書いてありますが、もちろんサーバ内での視聴や録画環境も基本的には同じ構成で、同一筐体内になるだけです。クライアントの場合は必要なネットワーク帯域を満たしていれば、LAN越し、Wi-Fi越しでも自由に置くことができます。

さて、SpinelサーバではSpinelで管理するチューナーデバイスのBonDriverを

\Spinel\BonDriverフォルダ

に個数分入れておくことで個数分のチューナを識別し、利用できるようになります。

それらはSpinelクライアントからはチューナー機種毎に固有の識別子、例えば

PTxならPT、W3PEならPXW3PE、W3U2ならPXW3U2、W3U3ならPXW3U3、S3U2ならPXS3U2、S1UDならPXS1UD

のように、まず区別されます。

ちなみにSpinelはBonDriverのネーミングルールで機種を判断しています。したがってオリジナルで提供されている各機種用BonDriverはネーミングを勝手に変えてはいけません。

BonDriverのインターフェースはどれも共通なんだから敢えて機種を判別する必要はないんじゃないか?と思われる方もいるかもしれませんが、実際はBonDriverは機種ごとに細かいクセや動作の違いがあり、Spinelはその辺を吸収するために機種対応をいろいろやっています。(対応の必要のない機種もありますが、例えばPX-S1UDが最初Spinelで動かなかったのを吸収したのもSpinel側の機種対応の一例です。)

さて、Spinelは(\Spinel\BonDriverフォルダに)適切なサフィックスをつけたBonDriverを、「チューナー個数分」入れておかないとチューナー個数を判別できませんので、例えば

BonDriver_ABC.dllというオリジナルのBonDriverが提供されている場合、
BonDriver_ABC0.dll、BonDriver_ABC1.dll、BonDriver_ABC2.dllのような、オリジナルのネーミング+サフィックス.dll というネーミング

として、チューナ個数分を該当フォルダに入れておく必要があります。(0,1,2等はユニークなものであれば、どんな文字でも構いません。iniファイルも提供されているなら同じネーミングで入れておく。)

これに加えて同種のデバイスを複数管理する場合、何台目のデバイスなのか、また特にマルチチューナデバイスの場合地上波チューナなのかBS/CSチューナなのか、その何個目のチューナなのかを指定することで、個々のチューナが識別されるようになります。

具体的にはBonDriver_Spinelxxx.dll.iniというファイルで、上の図にあるように

TunerPath = "PXW3U3/0/S/0"

のように指定することで、個々のクライアントのBonDriver_SpinelxxxがSpinelサーバ上のどのチューナーを見に行くかが決まることになります。

今回はこれにBCUD用の定義体を加え、

 PXBCUD

という識別子を付けました。

PX-BCUDはBS/CS専用チューナで、1台あたり1個のチューナしかありませんので、複数台をSpinelで管理させる場合のTunerPathは

PXBCUD/0/S/0、PXBCUD/1/S/0、PXBCUD/2/S/0

のように識別されることになります。

なお今回私の環境ではPX-S1UD 1台も同じようにSpinel配下に置きますが、こちらは

PXS1UD/0/T/0

という識別になります。(これが2台3台に増えていく場合は、PXS1UD/1/T/0、PXS1UD/2/T/0 のように識別することになります。)

2)チューナの共有とチャンネル優先権

Spinelの特長の1つに「排他制御」という言葉が出てきます。BonDriver_Spinelxxx.dll.iniの

RequireExclusiveChannelControl =

というパラメータで指定するので、正確には「排他的チャンネルコントロール」なのですが、これを「排他制御」と言ってしまうと誤解を招きやすいので、上記のような表現のほうが適切なのではないかと思っています。

つまりSpinelの特長の1つはむしろ排他ではなく、逆に1台のチューナを何台のクライアント(プログラム)からでも共有できる、という点だと思います。たとえば教室のようなところで十数台のPCに同じ映像を配信し、時間が来たら一斉にチャンネルを切り替える、というような使い方もできます。

まあ自宅に十数台もPCは無いかもしれませんが、例えば録画中の映像を別のPCでチェックを兼ねて同時視聴する、とか、家の台所と居間で同じ番組を流して行き来しながら観られるようにする、手元で字幕やニコ実入りの画像を流しながら別のPCを使って大画面で純粋な映像だけを映す、など、割と気軽に使える便利な機能です。

ただし、特に録画中に勝手にチャンネルを切り替えられても困るので、この「排他的チャンネルコントロール」は、チューナを共有しつつその辺を防ぐための機能だと言えます。

この辺の共有とチャンネル排他コントロールの機能について、簡単に説明したのが次の図です。

Spinelexcl

ここで優先権 = とは具体的には、RequireExclusiveChannelControl = 1(有)/0(無し)という指定になります。

3)SpinelとBonDriver_Spinel間の通信手順

これはネットワーク越しの場合はTCP/IP、ローカル(同じOS内)の場合はpipeを使います。(BonDriver_Spinelxxx.dll.ini の ForceTCPDataLinkMode = で指定します。)

これを0にしておけば自動的に選択してくれるはずですが、気のせいかうまく行かなかった記憶がありますので、ローカルでは0、ネットワーク越しでは1を必ず指定するようにしています。

4)選択的スクランブル解除

SpinelはB25Decoder.dllを同じフォルダに入れておくことで、映像スクランブルを解除しながらクライアントに流すことができます。

クライアント側のTVTestやEDCBでもスクランブル解除はできますし、Spinelでスクランブル解除すると(特にCSの場合)同じチャンネルの全サービス(9個の時もある)を一斉にスクランブル解除しようとしますので、BCAS-カードリーダの負荷が非常に重くなり、CS 2~3チューナー程度の同時処理でも限界を超えてしまって画面がカクついたりDropを起こす、という事態が起こりえます。

そういうわけで、BS/CSではむやみに使わないほうが良いのですが、それでも非力なスレートや少し古いPCをクライアントにする場合、映像を滑らかにするために便利な機能です。

そういったこともあり、現在のSpinelでは、クライアントやBonDriver_Spinel毎にSpinel側でのスクランブル解除をする/しない を選択ができるようになっています。

① Spinel.ini にDescrambleControl = の指定 (2ならクライアントの要求に合わせてスクランブル解除・デフォルトは解除しない、3なら同じく、ただしデフォルトはスクランブル解除)

② BonDriver_Spinelxx.dll.ini に DesiredDescrambleControl =  (0ならSpinelのデフォルトに合わせる、1ならスクランブル解除要求、2ならスクランブルされたまま送ってもらうことを要求)

以上の組み合わせで柔軟に、スクランブル解除をSpinel側に依頼する/しない を選択することができます。

(ただし、この節の冒頭にもありますが、Spinel側でスクランブル解除する機能を使うためは、\SpinelフォルダにB25Decoder.dllというモジュールを入れておく必要があります。過去にはW3U2の記事の中でその手順も解説していましたが、現状このモジュールの入手性が悪くなっているため、現在の当Blogのガイドではスクランブル解除の手段としてそれを使わない方法のみを解説しています。このモジュールはMulti2Decのパッケージか、一部のEDCBパッケージの中に入っていますので、やってみたい方はネットで探してみてください。)

5)SpinelはSpinelを呼び出せる

まあ、一段とマニアックな使い方かもしれませんが、こういう構成でも、またこの階層を何段に増やしても、Spinelはきちんと動作します。

Spinelredirect01_2

このように同じ構成で何回もSpinelを通しても何のメリットもありませんが、例えば次の図のようにチューナを積んだ何台かのサーバを動かしている場合、

Spinelredirect02

一旦サーバ1にSpinelでリダイレクトした上でクライアントからはサーバ1のSpinelだけを見るようにすれば、クライアントはサーバー1のアドレスさえ知っていればいいですし、チューナや各サーバのメンテ・構成変更があっても、クライアントの設定は何も変える必要がありません。

この構成の別のメリットとして、Spinel側でスクランブル解除をおこなう場合に、その処理をどこでおこなうかをチューナー毎に決められる(負荷分散ができる)、ということが挙げられます。
普通Spinel側でスクランブル解除させる場合、衛星系チャンネルでは負荷が重くなって、2,3チューナの同時処理でも限界、という事になりますが、この方法で負荷分散させれば衛星何チャンネルでも一括して、スクランブル解除済みのtsを家庭内配信できます。

チューナの仮想化は録画アプリにも有効で、例えばTVRockは1インスタンス=1つのOS あたり8チューナまでしか管理ができませんが、BonDriver_Spinelは仮想マシン上でも問題なく動きますので、能力に余裕のあるマシンなら仮想OSを複数立ててそれぞれでTVRockを動かし、TVRock間連携機能で多数のチューナーに録画を割り振る、といった活用もできます。
(録画のCPU負荷は大したことはありませんので、HDDを散らすこととLANの帯域、およびSpinel 1インスタンスあたりのセッション上限(20)のみに気をつければ良いです。Spinel自体を適切に仮想マシン上に分散させれば、このような構成も柔軟に構築できます。)

また次の図は別の応用例ですが、

Spinelredirect03

同じチャンネルの映像を多数のクライアントに配信する際、サーバを二段にして1台ごとのネットワーク帯域を節約しながら、ネズミ算式に配信先を増やす例で、Spinelで1対多の配信が可能であることを拡張した「家庭内Akamaiシステム」です。無線LANなど比較的細いLANを経由して2階で何人かで観たり、過去記事のように数十のクライアント画面でマルチ画面を構成する時に便利かもしれませんね。

下のほうでご紹介しているBCUD用修正済みSpinel定義体では、BonDriver_SpinelxxxをSpinelから使うための定義も追加してあります。ご興味あられる方は試してみてください。その場合 \Spinel\BonDriverフォルダに入れるときの BonDriver_Spinel のネーミングルールは、

「オリジナルのBonDriverの名前(例えばBonDriver_PX_W3U3_Tx、BonDriver_PT-Txなど)の "BonDriver" を "BonDriver_Spinel" に置き換えたもの」すなわち

BonDriver_Spinel_PX_W3U3_Tx、BonDriver_Spinel_PT-Tx など

となります。(更にもう1段以上Spinelを重ねる場合のネーミングルールは作っていませんが、地上波チューナー用に BonDriver_Spinel__PX_W3U3_Tx、BS/CSチューナー用に BonDriver_Spinel__PX_W3U3_Sx などを間借りして個数分並べれば良いと思います。)

なお BonDriver_Spinel は dll と dll.ini が必要ですのでその両方ともそのネーミングで\Spinel\BonDriverフォルダに、個数分入れてください。そうすれば、

Spinelspinel

この緑の枠内のように、SpinelVirtualTunerという仮想的なマルチチューナーデバイスとして、

"V/0/T/n"(地上波) "V/0/S/n"(BS/CS) のように識別されます。

まあ以上は一種の遊びですが、Spinelは単なるチューナの仮想化やネットワーク共有のソフトではなく、いろんな応用のキャパを持っている・かもしれない・という説明でした。

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2.PX-BCUD、S1UDをSpinelで使う

1)前提ソフトウェア

Spinelの動作には、.NET Framework 3.5 が導入されていることが動作の前提になります。これらはクライアント側PCにも必要になります。

 .NET Framework 3.5 Service Pack 1

 .NET Framework 3.5 SP1 Language Pack

 .NET Framework 3.5 SP1 修正プログラム KB959209

(以上はWindows7、Windows8以降では導入済ですが、有効化されているかどうかリンクの手順で確認し、何もチェックされていないようであればチェックしてください。
またXP、Vistaの場合、「コントロールパネル-プログラムの追加と削除」を見て導入されていないようであれば、「Windows Update-重要な更新プログラム」から導入できます。個別に入れる時はこちらこちらから。)

次に、TVTest、TVRock等の動作には以下の4つのVC++ランタイム

 Visual C++ 2005 SP1 再頒布可能パッケージ (x86)

 Visual C++ 2005 SP1 セキュリティ更新プログラム KB2538242  (vcredist_x86 を選択)
  (尚、このKB2538242の導入で「使用できないネットワークリソース」というエラーが出た場合は、こちらをご参照。)

 Visual C++ 2008 SP1 再頒布可能パッケージ (x86)

 Visual C++ 2010 再頒布可能パッケージ  (x86)

が必要です。まだ導入されていない場合はそれぞれクリックして、表示された画面で「ダウンロード」をクリックしてください。
「その他の推奨ダウンロード」のような画面が現れたら何も選択せず、画面を下までスクロールして「ダウンロードせずに続けます」を選択してください。

ダウンロードのダイアログが現れたら、「実行」を選択して導入してください。

Cppruntime2005

この画面では「はい」と答えれば導入されます。また「修復」「アンインストール」二択の画面になる場合は既に導入済みですので、「キャンセル」を選んで導入を終了させてください。

解凍ソフトの準備

以後のソフト導入手順の各所でzip や7z などの圧縮ファイルを解凍する必要があります。
OS標準の機能でもzipは解凍できる場合がありますが、TvTest用のfixやSpinelなどで使われている7z はOS機能やExplzhでは解凍できませんので、その辺ピンと来ない方は適切なフリーの解凍ソフトを導入しておいてください。zipも7zもlzhも区別なく解凍できるようになります。

例1)7-Zip
http://sevenzip.sourceforge.jp/
導入するとファイル上右クリックで7-zipのメニューが追加されており、そこから展開(=解凍)、圧縮を指示することが可能になります。

例2)WinRAR
40日を過ぎるとライセンス購入のメッセージが出ますが、毎回「閉じる」を押せば一応継続して利用可能です。
http://www.diana.dti.ne.jp/~winrar/download.html

2)デバイスドライバの導入

ここではPX-BCUDとPX-S1UDのデバイスドライバ(BDAドライバ)の導入を説明します。

① PX-BCUD

デバイスドライバーは、PLEXのBCUDのダウンロードページに最新版がアップされていますので、ご使用のOSに合わせたものをダウンロードし、解凍した中のDriverフォルダの中身を使ってください。
なおパッケージ付属の導入説明書の手順は間違っているので気にせず、BCUDをUSBに挿した状態で、DrvInst32.exe(32bit OSの場合)またはDrvInst64.exe(64bit OSの場合)を実行すれば良いです。

うまく認識できれば、コントロールパネル-デバイスマネージャーで図のように表示されるはずです。

Bcud_devman_2

② PX-S1UD

最新版のデバイスドライバーが以下のリンクにUPされています。これをダウンロード・解凍したものを使ってください。

http://www.plex-net.co.jp/product/pxs1ud_download.html

ただし、S1UDをWindows8 以降(64bit)環境に導入する場合は、現時点ではドライバーの導入で署名回避の手順が必要です。リンクの記事もご参照ください。

3) Spinelプログラムの導入と動作確認

① Spinelプログラム

最新版ver3.6.1.1 を作者のホームページ

http://lapislabs.blog24.fc2.com/blog-entry-25.html

からダウンロードしてください。

これを解凍して、中のSpinel3フォルダの中身を、適切な実行用フォルダ(以下、\Spinelフォルダと表記します) を作ってコピーしてください。

ただしこのままでは中の定義体が古いので、必ず以下のファイルをDLして、更新してください

修正済みSpinel定義体をダウンロード

これを解凍した中身をフォルダ構造ごと、\Spinelフォルダ に上書きコピーしてください。具体的には図の4つのファイルを置き換える形になります。

Spineldefupdate

② BonDriverの配置について (汎用的な解説)

PX-S1UDやW3U3/S3U2、W3PE/Q3PE、PTxのような通常のチューナーであれば、対応するBonDriverを \Spinel\BonDriverフォルダに置くことで、Spinelからそれらのチューナーを使えるようになります。

但しTVTest等で直接これらのチューナーを使う場合との大きな違いとして、Spinelは

(1) 「1個のBonDriverで複数のチューナーにアクセスすること」ができず、同種の複数チューナーを使う場合は、その数だけBonDriverをコピーして用意しなければならない。

(2) それらを区別するため、其々にユニークなサフィックス(BonDriver_SianoXX.dll 等のXXの部分)を付けた上で、\Spinel\BonDriver フォルダに置かなければならない。

(3) BonDriver***.dll と同名のiniファイル (BonDriver***.ini )が存在する時は、それらも同じサフィックスを付けて(例えばBonDriver***XX.ini )、それも \Spinel\BonDriver フォルダに置かなければならない。

(4) それ以外の付帯ファイル(例えばPT2のPTCtrl.exe、PT-ST.iniなど)がある場合は、そのまま \Spinel\BonDriver フォルダに置くこと。

以上のような決まりがあります。

例えばPX-S1UDであれば挿した個数分だけコピー、またPTxやPX-W3U3が2台の場合、地上波と衛星用のBonDriver(とiniファイルがあればそれも) をそれぞれ4個にコピーして、それぞれに0,1,2,3のようなサフィックスを付ける必要があります。

一方PX-W3PE/Q3PEの場合は1枚あたり、1つのチューナーに1個づつのBonDriverがありますので、1枚だけつかう場合はそのままでもOKですが、2枚使う場合はそれぞれを2個にコピーして、0、1 のようなサフィックスを付けた上で、\Spinel\BonDriver フォルダに置く必要があります。

以上のようなルールでBonDriverの配置をおこなってください。

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[PX-BCUD の場合に限った手順]

一方、PX-BCUDの場合はちょっと特殊ケースなのですが、BonDriverとSpinelプログラムの間に相性の問題があり、直接\Spinel\BonDriver フォルダに置くとチューナーがうまく使えません。そこでそれを解決するためのWrapper が有志によって開発されました。

これを使うためには \Spinel\BonDriver フォルダ直下にはWrapperを置き、その設定ファイルが指し示す所にBonDriver本体を置くこと形なります。

これも2台以上使う時はWrapperのdllとiniファイルを台数分コピーして0、1、2のようなサフィックスを付け、対応するBonDriver本体も台数分コピーして0、1、2のようなサフィックスを付けた上で、各Wrapperのiniファイルを編集して、対応するBonDriver本体を指す必要があります。

③ PX-S1UDとPX-BCUDの場合の具体的手順

(1) PX-S1UD の場合はS1UD用BonDriverをこちらからダウンロードし解凍すると、中にBonDriver本体 BonDriver_Siano.dll が入っています。
うまくダウンロードできない時はここにもアーカイブがありますので、試してみてください。

\Spinel\BonDriver フォルダに、この BonDriver_Siano.dll にサフィックスを付けたもの(BonDriver_Siano0.dll、BonDriver_Siano1.dll など)を個数分加えていきます。
以上でOKです。

(2) PX-BCUDの場合は、まずWrapperをこちらからダウンロードして入手します。
PX-BCUD用BonDriverのラッパー(Wrapper)
 上記リンクからうまくDLできない場合のミラーはこちら→ BonDriver_BSCS_Wrapper.zip

解凍した中にある BonDriver_BSCS_Wrapper.dll とBonDriver_BSCS_Wrapper.ini を \Spinel\BonDriver フォルダに置きます。BCUDが1個のみの場合はそのままの名前でもよいのですが、増やす時のことも考え、サフィックス (0) を付けておくと良いと思います。

BonDriver_BSCS_Wrapper0.dll

BonDriver_BSCS_Wrapper0.ini

次にBonDriver_BSCS_Wrapper0.ini をテキストエディタで開き、内容を以下のように書き換えてください。

[BonDriver_BSCS_Wrapper]
Driver=C:\SPINEL\BonDriver\BCUD\BonDriver_BSCS0.dll

(赤字部分は\Spinelフォルダの置き場所に合せて修正すること)

BCUDが2個、3個の場合は、「BonDriver_BSCS_Wrapper0.dllとini」 をコピーして末尾の0を1、2と変えたものを作った上で、BonDriver_BSCS_Wrapper(n).ini をテキストエディタで開き、内容を以下のように書き換えてください。

[BonDriver_BSCS_Wrapper]
Driver=C:\SPINEL\BonDriver\BCUD\BonDriver_BSCS(n).dll  (n)は1、2・・・

赤字部分は\Spinelフォルダの置き場所に合せて修正すること

- 次に、BonDriver_BSCS(PX-BCUD用)をこちらからダウンロードしてください。ここにもアーカイブがあります。
これを解凍すると、中にBonDriver本体 BonDriver_BSCS.dll が入っています。

Spinel\BonDriver 下に \BCUD というフォルダを作成してください。この\Spinel\BonDriver\BCUD フォルダに、BonDriver_BSCS.dllに0のサフィックスを付けたもの

BonDriver_BSCS0.dll

をコピーします。
(これも、BCUDが2個、3個の時は、BonDriver_BSCS1.dll、BonDriver_BSCS2.dllのようなネーミングにしたものを加えていきます。)

以上でOKです。

④ Spinelの起動確認と自動起動設定

以上のようにBonDriverの配置が終わったら、\Spinelフォルダ下のSpinel.exeをダブルクリックして起動してください。図のようなウィンドウが表示されれば成功です。

Spinelwindow
(ここではPX-S1UDを2台、PC-BCUDを2台定義してあります。)

もしウィンドウに定義した筈のチューナーが表示されなかったり、起動に失敗する時は、BonDriverの置き方や中身が何か間違っていますので、再度チェックしてください。

ウィンドウの最小化ボタンTvremoteviewer_minimize をクリックすれば、最小化され、アイコンSpineliconがタスクトレイに収まります。再度ウィンドウを表示させたい場合はアイコンをダブルクリックしてください。
(尚、最小化するときに間違っても終了ボタンTvremoteviewer_end は押さないでください。Spinelが終了してしまいます。)

うまく動いたら、Windows起動時に自動起動するようにしておいてください。ただし、Windows8以降だとスタートアップフォルダが見つけにくいところに隠れていますので、そこを使うよりは私の場合、「いじくるつくーる」で「起動時に毎回実行」を設定しています。
具体的には項目に以下のコマンドラインを追加しています。

名前:Spinel

コマンドライン: パス名\Spinel\Spinel.exe -WindowState=Minimized

以上でSpinelの導入は終わりです。

4)その他のプログラムの導入

全体のプログラム配置は以下のようになります。

Spinelbcud_filestructc

このうち ⑥~⑫ について、以下でご説明いたします。

⑥ TvTest

こちらのver.0.7.23(x86)をDLし、適切な実行用フォルダ(以下、\TVTestフォルダとします)に解凍してください。
TVtestが上記リンクからうまくダウンロードできない場合、こちらにもアーカイブがあります。

なお、最新版のTVTestでも中に入っているBS、CSチャンネルファイルは必ずしも最新ではありませんので、次の添付ファイルを「右クリック」→「対象をファイルに保存」でダウンロードして、\TVTest実行用フォルダに上書きコピーしておいてください。

「Preset_BS.ch2」をダウンロード

「Preset_CS.ch2」をダウンロード

(上記の名前のままでDLするように注意してください。ときどきブラウザが勝手に.txtという拡張子に改変してダウンロードしようとする場合がありますので、その場合は再度この操作をやり直して、拡張子が.ch2になることを確認してください。)

次に、Microsoft DTVデコーダに対するバグを修正するため、こちらから 0.7.23fixをダウンロードし、解凍します。
 上記サイトがリンク切れしている場合、こちらの一覧からTVTest_0.7.23fix.zipをダウンロード&解凍して使ってください。
中にある2つのファイルを\TVTestフォルダにコピーして、 TVTest_0.7.23fix.exe をダブルクリックし実行してください。
Tvtestfix_6

正常終了が表示されてTVTest.exeの日時が 2013年2月28日11:00 になればOKです。

⑦ BonDriver_Spinel 

作者のホームページ

http://lapislabs.blog24.fc2.com/blog-entry-26.html

から最新版のver3.5.3.0 をダウンロードし、解凍してください。すると直下に
BonDriver_Spinel.dll.ini

x86フォルダの下に
BonDriver_Spinel.dll

がありますので、この2つを適切なフォルダに保存しておいてください。これをチューナー数分だけコピーして、各チューナーに対応して名前をリネームし、iniファイルの中を編集してきます。

(1) PX-BCUDを利用するためのBonDriver_Spinelは上記のセットを\TVTestフォルダの中にコピーの上、以下のようにファイル名の末尾に0を加えてください。

BonDriver_Spinel_BSCS0.dll
BonDriver_Spinel_BSCS0.dll.ini

もし2個目、3個目のPX-BCUDを使う時は、サフィックスを1,2としたもの(BonDriver_Spinel_BSCS1.xxx、BonDriver_Spinel_BSCS2.xxxなど)を同じように加えていくことになります。

次に、BonDriver_Spinel_BSCS0.dll.ini をテキストエディタで開き、該当のところを以下のように修正して保存します。

TunerPath = "PXBCUD/0/S/0"
RequireExclusiveChannelControl = 0
DesiredDescrambleControl = 0

これらのパラメータの説明は、この記事の前のほうにあります。
これも2個目、3個目のBCUDを使うときは、それぞれの BonDriver_Spinel_BSCSx.dll.ini ファイルの TunerPath = の指定を、 "PXBCUD/1/S/0"、"PXBCUD/2/S/0" のようにし、それ以外は同じようにして保存してください。

(2) PX-S1UDを使う場合も同様です。BonDriver_Spinel の2つのファイルをコピーの上

BonDriver_Spinel_Siano0.dll
BonDriver_Spinel_Siano0.dll.ini

のようにリネームした上で \TVTestフォルダに加えていき、iniファイルの中も上記(1)と同じように編集してください。ただし ini ファイル中でTunerPathは

TunerPath = "PXS1UD/0/T/0"

のようにして、S1UDのデバイス識別を指定してください。2個目以降ではこれがPXS1UD/1/T/0、PXS1UD/2/T/0 のようになっていきます。

⑧TVRock

リンク先のファイル置き場から「期限解除パッチ適用済みTvRock09u2(up0699.zip)」をダウンロード可能です。それより前のバージョンはTvRockスレ@ウィキ の倉庫にあります。
http://www35.atwiki.jp/tvrock/pages/27.html

DLしたファイルは適切な実行用フォルダ(以下、\TVRockフォルダとします)に解凍してください。

⑨TvRockOnTVTest

最新バージョン(Mod9.1r2)をこちらからダウンロードします。
あるいはうまくダウンロードできないときは、TvRockスレ@ウィキ の倉庫にもアーカイブがあります。
http://www35.atwiki.jp/tvrock/pages/27.html

DL&解凍後、中にある「TvRockOnTVTest.ini」 と「TvRockOnTVTest.tvtp」の2つのファイルを、\TVTestフォルダの下の、\Pluginsフォルダ にコピーしておきます。

 

5)カードリーダ、BCASカードを使用するPCにセットしてください。

もし既にPX-W3Ux、S3Ux,W3PE等のPLEXチューナを同じPC上でお使いでしたらリンク先の手順で内蔵カードリーダ&カードが共用できますし、BonCasLinkを使えば他PCで使っているBCASカードを共用することも可能です。なお、netcasなど代替のwinscard.dllを使う場合は \TVTest フォルダにそれを入れるだけで、それ以外上記のいずれも不要です。

6)以上で必要なファイル等の配置は終わりです。

ここからTVTest、TVRockの設定に入りますが、基本的な手順はリンク先以降のW3U2の手順とほぼ同じですので、そちらを参照いただければ十分だと思います。(端折ってすみません^^;)

ただしTVRockのDTune.batによる設定では、

●チューナ個数を実際に使う個数に合わせる。

●W3U2の手順だと「地上波」→「BS/CS」→「地上波」→「BS/CS」の順に定義していますが、今回使うチューナ種別に合わせて任意の順に設定していってください。

●チューナー初期設定では、

「チューナータイプ」をBS/CS

「実行アプリ名(視聴用)」をtvtest.exeとし、オプションに

/d BonDriver_Spinel_BSCS0.dll /DID A

を入力。

「実行アプリ名(録画用)」もtvtest.exeとし、オプションに

/d BonDriver_Spinel_BSCS0.dll /min /nodshow /DID A

以下

-2個目以降の定義ではBonDriverのサフィックスを1,2・・ DID xのxをB,Cと変えて行く
-S1UDでは「チューナータイプ」を地上波デジタルとし、オプションのBonDriverはBonDriver_Spinel_Siano0.dll等を指定

以上のように読み換えていっていただければと思います。

また、当記事では「少ないチューナーを仲良く共有する」という発想で、Spinelの「排他的チャンネルコントロール」は設定していません(RequireExclusiveChannelControl = 0 としています)が、TVRockで録画にチューナを使う場合、(上のほうで解説している通り)TVRock側にチャンネル優先権を持たせないと、録画中のチャンネルをうっかり切り替えてしまう、というミスが起きえます。

それを避けるために、TVRockで使うチューナーについては、TVRockが使うTVTest環境で

BonDriver_Spinel_BSCSx.dll.ini に

 RequireExclusiveChannelControl = 1

を指定してください。

ただしこのTVTest環境をそのまま視聴にも使うと、そちらもチャンネル優先権を持つため競合して、録画ミス がやはり起きえます。その辺も綺麗に解決するために、リンク先のW3U2の設定手順の中に、「TVRockで使うTVTest環境とは別に、視聴用のTVTest環境を作る」という手順がありますので、そちらもぜひご参照ください。

このPCで視聴したり予約録画するための設定は、これで完了です。

まで進めれば、設定は終わりです。

6)他のPCからSpinel経由でTVを視聴/予約録画する方法

これも、ほとんどW3U2の手順が使えますので、リンク先を参照して設定していってください。(リンク先にあるBonCasLink周りの設定も、netcasなど代替のwinscard.dllを使う場合以外は、クライアントPCでの視聴のために必要になります。)

以上、ちょっとかけ足でしたが、ご参考にしていただければと思います。いろいろ書きながら気づいた点、端折った点などは、後日また追加していこうと思います。

Bcud_s1ud_spinels_2

Spinelを使った画面イメージはこんな感じになります。もちろん実際のTV画面はLAN上のいろいろなクライアントに映すことになります。

2012年5月22日 (火)

PX-BCUDを使ったBS/CS110の"お手軽"視聴&録画システムについて

PLEXから発売されているUSBドングルサイズのBS/CS110チューナー PX-BCUD

について、以前入手したのですが、Spinelの対応を待ってまとめて記事にしようと思いつつ なかなか対応の情報がなかったので、そのままになっていました。(Spinelもようやく有志のかたがWrapperを作成してくださったことによって、この記事とわずかな時間差の昨日5/22時点で使えるようになりました→その手順は次記事でご紹介したいと思います。)

しかもそうこうしているうちに(私自身はいろんなしがらみ・権益の詰まった地上波ではない有料放送に健全に発展してもらいたいので、視聴する受益者が代価を払う仕組みが崩壊して欲しくはない:私自身e2に結構な月額払ってますし:のですが)、論評は避けるとしてリンク先のような現状が呼び水にもなっているのか、BS/CS110の安価なチューナーであるこの機種の設定情報のニーズも高まっているようですので、そろそろ動作させるための解説を書いておこうと思います。

ここではSpinelを使ったネットワーク共有までおこなわず、普通に視聴に使ったり録画サーバーに1本から数本挿して使う、W3Uxなど他のチューナに追加して使う、などの使い方を想定したごくノーマルな導入方法を解説します。

なお、設定や利用していく上でのFAQはこちらにまとめてあります。もしうまくいかないことや疑問点があったら、随時参照してみてください。

1.外観および中身について

私自身はAmazon(アキバガレージ)で購入したのですが、現在これを店頭で買うとなると秋葉原でもArkなど、ごく限られたショップのみの扱いになっているようです。W3U3やS1UDなどはPCパーツ大手代理店のMVKが扱っていることもあり普通に店頭で買えますが、BCUDはまだ供給量が少ないのか商流を絞っているようで、代理店の取扱リストにも載っていません。

とはいえAmazon、ワンズやPLEX自営の通販で普通に購入できますので、入手されたい方はその辺を利用されると良いと思います。

パッケージを開くと写真のように、本体のほかUSBケーブルとCD、および導入説明書というシンプルな構成です。

Bcud_package_2

USBケーブルは一種の”USB延長ケーブル”になっています。本体をPCのUSBポートに直接挿すのなら要らないのですが、S1UDを使った経験でも、直接挿しているとPCからかなり出っ張ったり、ケーブルに無理な力がかかったりして、何かにぶつけたときに本体やPC側のUSBポートを曲げたり痛めることがあり、結構その辺のフィードバックなのではないかと思います。

なお本体内部についてですが、お勧めはしませんが一応腑分け好きな人のために、本体のシールを少し剥がすと写真のようなネジがありますので

Bcud_hiddenthread_2

これを小さな+ドライバーで外して、殻の間をマイナスドライバーで少しずつこじ開ければ、カバーが外れて写真のような中身が出てきます。

Bcud_inside_2

コントローラーそのものはeMPIA製で、BDAドライバーもeMPIA製になっています。

Bcud_driver_2

なお、USB2.0の給電能力による制限だと思われますが、この製品からBS/CSアンテナへのLNB給電はできませんので、単体の場合BS/CSブースター経由で使用する(その場合ブースターが給電器を兼ね、しかも給電専用器より安価)か、他の衛星チューナーやテレビを併用する場合はそちらから給電するような(分配器の)構成にする必要があります。合わせ技として、分配器の片側にBS/CSブースターを(何もその下に繋げずに)給電専用としてぶら下げる方法もあります。(ブースターで増幅する必要は全く無いが、安価なブースターでLNB給電だけをさせたい場合など。ヤフオクなどでは電源分離式の本格的なブースターの電源部だけが余って千円前後で大量出品されてたりしますので、それを利用するのもアリです。)
そうこう言っているうちにプレクスさんがおあつらえ向きなACアダプタを扱い始めましたので、これと分配器があればそれでも十分です。

CATVやフレッツTVのパススルー環境やマンションの共用アンテナの場合は大抵、LNB給電は不要ですので、アンテナ線直結でも構わないと思います。(ただしパススルー環境では、契約の無い有料チャンネルは無料開放デー以外、最初から信号を送ってこない場合も多いです。*あくまでそれらに対してチャンネルスキャンや番組表取得ができない、という意味ですので誤解なきよう。*  また、リンク先のように、受信レベルが強すぎて信号レベルが低下する場合もたまにありますので、備え付けのブースター経由やパススルー環境で受信状態が思わしくない場合は、アッテネーターの検討が必要な場合もあります。またBSCS/地上波の混合でアンテナ端子が来ている場合は、必ず分波器を入れて地上波と分離したものを入力するようにしてください。いろいろな理由で、混合したままだと受信はできてもレベルが劣化することが多いようです。)

もしCATV等の環境があっても自前で衛星アンテナ設置を検討される場合は、この辺の過去記事もご参考にしてください。

2.導入について

1)ドライバーの導入

PX-BCUDデバイスドライバーは、PLEXのBCUDのダウンロードページに最新版がアップされていますので、ご使用のOSに合わせたものをダウンロードし、解凍した中のDriverフォルダの中身を使ってください。
なおパッケージ付属の導入説明書の手順は間違っているので気にせず、BCUDをUSBに挿した状態で、DrvInst32.exe(32bit OSの場合)またはDrvInst64.exe(64bit OSの場合)を実行すれば良いです。

うまく認識できれば、コントロールパネル-デバイスマネージャーで図のように表示されるはずです。

Bcud_devman_2

2)一応お約束の前提として、Microsoftのランタイム類を導入しておきます。

(既存のTVTest環境にBCUDを追加する場合は不要です。)

 Visual C++ 2005 SP1 再頒布可能パッケージ (x86)

 Visual C++ 2005 SP1 セキュリティ更新プログラム KB2538242  (vcredist_x86 を選択)
  (尚、このKB2538242の導入で「使用できないネットワークリソース」というエラーが出た場合は、こちらをご参照。)

 Visual C++ 2008 SP1 再頒布可能パッケージ (x86)

 Visual C++ 2010 再頒布可能パッケージ  (x86)

をそれぞれクリックして、表示された画面で「ダウンロード」をクリックしてください。
なお、「その他の推奨ダウンロード」のような画面が現れたら何も選択せず、画面を下までスクロールして「ダウンロードせずに続けます」を選択してください。

ダウンロードのダイアログが現れたら、「実行」を選択して導入してください。

なお、「修復」「アンインストール」二択の画面になる場合は既に導入済みですので、「キャンセル」を選んで導入を終了させてください。

解凍ソフトの準備

以後のソフト導入手順の各所でzip や7z などの圧縮ファイルを解凍する必要があります。
OS標準の機能でもzipは解凍できる場合がありますが、TvTest用のfixなどで使われている7z はOS機能やExplzhでは解凍できませんので、その辺ピンと来ない方は適切なフリーの解凍ソフトを導入しておいてください。zipも7zもlzhも区別なく解凍できるようになります。

例1)7-Zip
http://sevenzip.sourceforge.jp/
導入するとファイル上右クリックで7-zipのメニューが追加されており、そこから展開(=解凍)、圧縮を指示することが可能になります。

例2)WinRAR
40日を過ぎるとライセンス購入のメッセージが出ますが、毎回「閉じる」を押せば一応継続して利用可能です。
http://www.diana.dti.ne.jp/~winrar/download.html

3)TVTest最新版をこちらから BCUD用BonDriverをこちらからダウンロードします。

(既にTVTestを導入済の方は、BonDriverのみで大丈夫です。)

またTVtest 0.7.23(x86)はこちら、BCUD用BonDriverはこちらにもアーカイブがありますので、ダウンロードがうまくいかない場合は試してみてください。

4)TVTestを適切な実行用フォルダ(仮に\TVTestというフォルダ名とします)に解凍して、その中に解凍したBCUD用BonDriver(BonDriver_BSCS.dll)を入れます。

(既に導入済のTVTestにこのチューナーを追加する場合は、既存のTVTest実行用フォルダにBonDriver_BSCS.dllを入れてください。)

また、CSに関しては以下のプリセットファイルを「右クリック」→「対象をファイルに保存」で、TVTest実行用フォルダーに上書きダウンロードしておいてください。

「Preset_CS.ch2」をダウンロード
(上記の名前のままでDLするように注意してください。ときどきブラウザが勝手に.txtという拡張子に改変してダウンロードしようとする場合がありますので、その場合は再度この操作をやり直して、拡張子が.ch2になることを確認してください。)

次に、Microsoft DTVデコーダに対するバグを修正するため、こちらから 0.7.23fixをダウンロードし、解凍します。
 上記サイトがリンク切れしている場合、こちらの一覧からTVTest_0.7.23fix.zipをダウンロード&解凍して使ってください。
中にある2つのファイルを\TVTestフォルダにコピーして、 TVTest_0.7.23fix.exe をダブルクリックし実行してください。
Tvtestfix_5

正常終了が表示されてTVTest.exeの日時が 2013年2月28日11:00 になれば適用終了です。

5)PX-BCUDにBS/CS110用アンテナケーブルを繋いでください。

6)netcasなど代替のwinscard.dllを使う場合は、\TVTestフォルダにそれを入れることになります。

それ以外の場合は、USBカードリーダを繋いで、BCASカードを挿してください。

または繋がっているPX-W3Ux,S3Ux,W3PEの内蔵カードリーダにBCASカードを挿し、TVTest実行用フォルダに

-CardReader_PX.dll

-それぞれの機種に対応したCardReader_PX.ini

-(FakeWinSCardをリネームした)WinSCard.dll

以上をコピーしておいてください。(なお、PXシリーズ内蔵カードリーダを今回初めて汎用的に使う場合は、リンク先の解説も参照のこと。)

あるいは、別の常時ONのPC(サーバー)にBCASカードを挿したカードリーダーやPXシリーズがある場合は、BonCasLinkを使ってそれを共有することも可能です。→手順はこちら

その場合はPX-BCUDを挿すPCに、上記リンク先の手順でBonCasProxyを常駐させておいてください。

7)TVTestを起動します。図のようなダイアログが出たら、赤丸部のチェックを外した上で「実行」。

Bcudtvt0_2

新規のTVTest環境では初期化ダイアログが表示されますので、例えば図のように入力し、OKを押します。

Bcudtvt1_2

なおWindows8やXPの環境に導入する場合は、デコーダにMicrosoft DTV-DVD Video Decorderは選べませんので、リンクの記事をご参照のうえffdshowやATI mpeg video decoderを導入した上で、ここで選択してください。またVista/7のかたもMicrosoft DTVデコーダが必ずしもベストな画質ではないですので、一通り稼働確認が済んだら同じリンク先の手順でいくつかデコーダを入れてみて、好きなものを選択すると良いと思います。
また、PCに PowerDVD が導入されていれば、「CyberLink Video/SP Decoder」を使うのがベストだと思いますが、PowerDVD11以降を導入されている方はこちらもご参照ください。

その上で次のダイアログには「はい」を押します。

Bcudtvt2_2

なお、新規でないTVTest環境では、TVTest画面の左下を左クリックしBonDriver_BSCSを選んだ上で、画面右クリック→設定で「チャンネルスキャン」を選べば、以下の同じ画面になります。

Bcudtvt3_2

8)この画面で「スキャン開始」をクリックすれば、BSのチャンネルスキャンが開始されます。

以下のようなチャンネルスキャン画面になりますので、暫く待ちます。

Bcudtvt4_2

9)BSのチャンネルスキャンが終わったら、一部手直しします。

まずスターチャンネル2,3については、重複したものができますので、図の赤丸のように(番号12のほうを)チェックを外しておきます。

Bcudtvt5_2

また、地デジ難視聴用チャンネルを使用される方は、次図のようにチェックをしておきます。

Bcudtvt6_2

以上でBSのチャンネルスキャンは終わりです。

次に対象チューニング空間を110CSにして、プリセット読み込みをクリックします。

Bcudtvt7_2

これでCSのチャンネルセットも終了です。

10)残りの作業として、この画面左にある「一般」「録画」のタブを順に選んで、リンク先の赤い丸印のように設定してください。これは録画に同じ放送波の別のサービスが混じったり、不要なスクランブル解除で負荷がかかることを防ぐためです。

以上で設定は終わりです。「OK」をクリックしたのち、TVTest画面右上のTvtestxをクリックして、一旦TVTestを終了させてください。

次に \TVTestフォルダあるTVTest.exeを右クリック(ドラッグ)したままデスクトップにカーソルを動かし、

Tvtestdand

そこで放す(ドロップ)すると、図のような選択枝が出ますので、「ショートカットをここに作成」を選択します。

Tvtest_making

これでデスクトップに図のようなアイコンが出来ます。

Tvtest_2

これをダブルクリックすればTVTestが起動します。これでTVの視聴と、簡単な録画ができるようになります。

TVTest画面下(ステータスバー)にある「録画」ボタンを左クリックすれば、視聴中の映像をそのまま(もう一度このボタンをクリックするまで)録画できますし、同じ所で右クリックすれば

Photo_3

「(EPG情報を利用して)この番組を最後まで録画する」とか、「詳細」で開始/終了時刻を指定して録画するなど、いろいろな録画方法が選べます

TVTestは基本的に高機能なテレビとして使える他、プラグインなどによって便利な機能を追加していくことができるのが特徴ですので、リンク先も参考にしてください。
この段階でTvtPlayも導入しておくと良いと思います。他にニコニコ実況プラグインWhiteBrowserなどもお勧めです。

11) 予約録画の環境作りは少しだけ面倒になりますが、余裕があったらチャレンジしてみてください。以下ではTVRockを使った手順を解説します。(ただし、既に動いているTVRockにこのチューナーを追加する場合は、タスクトレイのTVRockアイコンで「右クリック」→「TvRockの終了」を選んでTVRockを一旦終了させた上で、12)13)を飛ばして14)に進んで下さい。)

12) TVRockは、リンク先のファイル置き場から「期限解除パッチ適用済みTvRock09u2(up0699.zip)」をダウンロード可能です。それより前のバージョンはTvRockスレ@ウィキ の倉庫にあります。
http://www35.atwiki.jp/tvrock/pages/27.html

DLしたファイルは適切な実行用フォルダ(以下、\TVRockフォルダとします)に解凍してください。

また、TvRockOnTVTestの最新バージョン(Mod 9.1r2)をこちらよりダウンロードします。
うまくダウンロードできない時は、TvRockスレ@ウィキ の倉庫にもアーカイブがあります。
http://www35.atwiki.jp/tvrock/pages/27.html

TvRockOnTVTestは解凍後、「TvRockOnTVTest.ini」 と「TvRockOnTVTest.tvtp」の2つのファイルを、TVTestを導入した\TVTestフォルダの下の、\Pluginsフォルダ にコピーしておきます。

BS/CS最新チャンネル対応のための前処理として、\TVRockフォルダにあるtvrock.exeをダブルクリックして、TVRockを起動してください。

以下のような初期化ダイアログ、

Tvrockinit

あるいは

Tvrockinitb

が、(場合によっては何回か)出ますが、全てキャンセルを選んでください。
(なお、キャンセルを選ぶのはこの時だけです。以降の手順や通常の起動時に同じダイアログが出るときは、常に「OK」と答えてください。)
タスクトレイにTVRockアイコンTvrockiconが表示されまますので、その上で右クリックし、「設定」を選びます。

表示されたTVRock設定画面で「システム設定」のタブを選びます。

下図の赤丸の「TvRock作業フォルダ」で「参照」を押して、\TVRockフォルダの場所 をセットしてください。

Tvrock1

以上でOKを押し、タスクトレイのTvRockアイコンに戻って、右クリックし、「TVRockの終了」を選んでください。

次に、以下の2つのファイルをそれぞれ「右クリック」から「対象をファイルに保存」を選び、\TVRock作業用フォルダを指定して、「保存」をクリックしてください。上書きしますか?と聞かれたら「はい」と答えます。

「ch-bs.txt」をダウンロード
「ch-cs.txt」をダウンロード

13) \TVRock作業用フォルダにある、DTune.batをダブルクリックしてください。

Tvrockdtune_1

1チューナーを選択。(BCUDを2個以上導入する場合は個数分を選択。)

チューナー1にて、

Bcudrock

「視聴・録画アプリケーションがあるフォルダ」に、\TVTestフォルダを指定。

「チューナータイプ」をBS/CSに指定。

「実行アプリ名(視聴用)」をtvtest.exeとし、オプションに

/d BonDriver_BSCS.dll /DID A   

を入力。

「実行アプリ名(録画用)」もtvtest.exeとし、オプションに

/d BonDriver_BSCS.dll /min /nodshow /DID A

を入力。

録画先フォルダを適切に指定。

入力が終わったら「次へ」をクリック。2個以上のBCUDを導入するときは同じように入れていくが、視聴用・録画用両方の「オプション」で

/DID x

xを、A以降に続く次のアルファベット(例えば2個目のチューナーであれば/DID B)にして、「次へ」をクリックしていく。

以降の手順はリンク先に従って、

「このPCで視聴したり予約録画するための設定は、これで完了です。」

というところまで進めてください。予約録画の方法もリンク先に解説してあります。

以上で予約録画環境も完成です

14) なお、既存のTVRockにこのチューナーを追加する場合、タスクトレイのTvRockアイコンで右クリックし、「TVRockの終了」で終了させた後、13)のDTune.batの手順に沿って進めて、追加分チューナーを定義すると良いと思います。

ただし、修正点として、以下のようにしてください。

・最初のチューナー数の選択で、既存のTVRockのチューナー数+1 を選択する。

・その後、既存のチューナー定義はそのままにして、「次へ」で進めて行く。

・追加分のチューナーのところで、

「視聴・録画アプリケーションがあるフォルダ」に、\TVTestフォルダを指定。

「チューナータイプ」をBS/CSに指定。 録画先フォルダも適切に指定。

「実行アプリ名(視聴用)」をtvtest.exeとし、オプションに

/d BonDriver_BSCS.dll /DID x

「実行アプリ名(録画用)」もtvtest.exeとし、オプションに

/d BonDriver_BSCS.dll /min /nodshow /DID x

ただし、DID x のx は、定義済みのチューナーに続く次のアルファベット、例えば既存のチューナーがA~Dで振ってあればE に設定する。

・あとはそのまま終了まで進めて行く。(チャンネル設定も既に定義したものが表示されますので、そのまま「次へ」で進めて良いです。)

・DTune.batの副作用(もともと定義してあったTVRockの設定内容の一部が初期値に戻っている)を元に戻す。→手順

以上のように、BCUDの場合も手順に沿って進めて行けば、容易にBS、CS110の視聴と予約録画が可能になります。

Bcudtv_2

TVTest上の表示では、同時使用しているW3Uxと同様に、BSで15~16dB、CSで12~14dB程度が表示されます。これはあくまでチューナの自己申告値なので機種によって基準が違いますが(例えば地上波でW3Uxは最適の受信条件でも30dB以上の表示には仕組み上なりませんが、S1UDでは60~80dBの表示になります。実態としては両方ともPCチューナとしては良い性能なのですが、W3Uxのほうがいくらか高い感度をもち、悪条件でもドロップを起こしにくいです。)、実際にBCUDを暫く録画に使ってみて、BS、CSともドロップやエラーが系統的に出ませんので、感度的に問題ないのでは、と思います。(悪天候の厳しい条件でまだ比較していませんが。)

BcudtvcsこちらはCS

衛星用パラボラアンテナは持ち歩く訳にはいかないのですが、家の中で使うにしても小さくて差し替え容易なこのチューナは、S1UDと併せ、USBハブに必要なだけ挿して使うなどTV視聴&録画の自由度をより高めてくれるのではないかと思います。

Bcud_s1udBCUD(上)とS1UD(下)

なお、騒ぎのおかげでUSBカードリーダは暫く入手難になっていましたが、どうやら元の価格で十分に供給されつつあるようです。この辺のリーダであれば、Windowsの32/64bitのいずれでも、問題なく利用できると思います。

本文はここまでで、以下は余談です。

まあそれにしても、事態がどのように動いていくか、注視していきたいですね。

このBlogの立ち位置としては、著作物の利用にはしっかり対価が払われるべきもので、また有料放送は新規事業者だけではなく、既存の放送局の中でもやる気ある人たちが活躍できる場所なので、健全に発展してほしいと思っていますが、コピー制御はそれとは関係なく、市場を閉鎖的に保って既得権益を守りたい人々が、様々な新規プレーヤーによって市場全体が活性化されていく可能性を毀損しながら"勝手に"やっていることなので、「そんなものは一刻も早く消え去ったほうがいい。さもなければ、国内産業がまた1つ世界から取り残されて消えていくだけ。」という発想を持っています。

「国内産業の担い手がDpaで旗振ってるんだから衰退していくのも彼らの自由」という意見もあるかもしれませんが、新興企業や他業種の主導で何かを始められてしまうことを阻害しながら「シマ(既存の流通経路)を荒らされるくらいならゆるやかに衰退するほうがマシ」という発想で国内ルールを作ってしまうのが日本の業界団体ならではのところで、電子出版や音楽配信なども同じ構図ですね。そんな事を企む業界ロビイストはどこの国にもいますが、そういった勢力に健全に対抗する政治勢力やシンクタンクがなく、監督官庁も業界指導の伝統で国内業界の育成役に祭り上げられ、お墨付きを与えてしまい、天下り先まで提供されてしまっている、といった構図は容易に理解できますね。
業界の伸びしろがまだ大きかった時代はこのような、業界団体と話し合いながら政策を決め補助金を出していくという"護送船団方式"にもメリットがあったのですが、パイが伸び切ってむしろ縮小していく時代になると、伸び盛りのプレーヤーが参入して既存プレーヤーと入れ替わりながら(と言うと聞こえが良いのですが、ひらたく言えば問答無用に荒らしまわって古参の巨人を駆逐して、しかし結果として)業界の新しい成長を支えていくという”至極健全な”新陳代謝を阻む状態になるわけで、日本の今の縮図とも言えます。(まるで日本だけ計画経済の亡霊に取り憑かれているようですが、実際これは戦前の官僚達がナチや旧ソ連のそれに憧れて、汚職カードで政治干渉を無力化しなながら〇ヶ年計画を突き進める手法を覚えた頃に源流があると言われるほど根は深いです。) これ放置すれば日本にはいかなる革新的な経営者や投資家が現れてもAppleやAmazonのような"健全な新陳代謝の担い手"は永久に生まれ得ないのではないでしょうか。

以前は非関税障壁などと言われた日本の製品安全基準や規格は現在かなり公正なものになっていると思いますが、「著作権保護」というのが聖域化されてしまっていて、市場の閉鎖性を保つ格好の名目になっている感じですね。JASRACやSARVHといった団体も一種の番犬役に過ぎないと思います。時々飼い主を噛んだりもしますが。

そうではないと言いたいのかコピー制御を推進している人々からは、「日本発で世界標準になるような素晴らしい著作権保護技術を作るのだ!」というような鼻息荒い声も聞かれますが、ことこの辺の技術に限ってはそういう可能性は万が一にもないと思います。というのは著作権保護というのは根本的に供給側の論理なので、「ユーザーのニーズからマーケットが生まれる」という大原則から言っても、これ自身が需要を生むことはありえず、したがって日本以外のメーカーが進んで日本の技術を採用する理由がありません。グローバルなコンテンツ提供者側も、本当に必要なのは時代に合せてコンテンツの流通手段を進化させて(不正利用の損失も加味しても)ビジネスボリューム全体を最大化させる事が第一のはずです。したがって商用に流通するコンテンツの保護技術は、ユーザーの新しい利便性の価値を損なわない範囲で、目立たず必要十分な妥協点が柔軟に選択できればよく、大上段の理想論は必要とされません。(そんなものが必要だという主張は、既存の流通手段での既得権益者が、中抜きにされるのを恐れて足枷をはめる目的でロビー活動しているだけです。巧妙に著作権者の声に偽装されていますが。)
またMicrosoftのDRMのようにある程度広く採用された保護技術でも、それ自体が大した利益を生むものではないので、「大企業や国が総力を挙げて」取り組むようなものでは決してなく、力を入れる方向性を完全に間違えていると思います。(が、ビデオカメラの映り込み防止技術とか、他でもいろいろ勘違いをやってますね日本の役所とメーカーは。)
ISOやIEEEなどの「規格」は業界内の話し合いだけで作ることはできますが、それとユーザーや周辺産業に支持されて発展していく「デファクトスタンダード」との間には巨大な隔たりがあり、社会的な意味を持つ「標準」は後者になります。そういった経験やビジネス上の動機付けも無い者(NHK殿の8K規格など)が後者を主導するのは到底無理な話で、その意味の違いすら理解されていないと思います。

その話とは別に、「タダ見」ができてしまう仕組みは、そのまま定着してしまうと有料コンテンツを生業にしようとした事業者の体力を奪っていきます。
しかし、業界構造全体から見れば新参者の有料放送が苦境に立つことよりも、「致命的な欠陥が見つかったシステムだからゼロベースで見直す。」という(もっとも真っ当と思われる)判断では築き上げてきた"肝心の部分"が否定されるため、それだけは断固として阻止したい勢力のほうが強いのではないかとも思います。特に強引なBCASの普及に一役二役買っていると思われるNHKさんの「衛星受信料徴収促進」の目的には何の影響も出ないため、腫れ物を触るようなスタンスに終始するのではないでしょうか。この辺あまり真面目に追及すると、そもそもオフラインのカード認証で、誰に渡ったのかも判らずどうやって更新するかも考えられてない、という(IT業界の者の常識から見れば)脆弱としか言いようのないものをゴリ押しした首謀者は誰だ、という風に、返り血を浴びる事になってしまいます。
スポットCMや見せしめ的摘発の報道をしているだけで肝心のB-CASの更新は8Kとのセット、と明後日な事を言っているのは「前を向きながら全力で後ずさり」している姿勢にしか見えません。
コピー制御を回避するチューナーの話とB-CASクラックの話は全く別物だと思っていますので、その辺を混同した議論には注意すべきだと思いますし、あえて一緒くたにして規制規制と言い出す人がいたら、眉に唾して聞くべきだと思います。なにしろ技術的保護手段回避の有無に関係なく、なんでもない普通のカードをちょっとクラックしてしまえば普通のTVやレコでただ見も録画も好きなだけできてしまい、それを"摘発"するには全国民を被疑者にした魔女狩りしかないわけですから。

つまる所こんな「些細な」クラックでシステム全体が崩壊してしまうのは、日々進化するITの動向を知らずそれを舐めきって「難しい事はメーカーさんに任せたから」と言うような人たちが、閉鎖的に利権優先で考えたシステムだからでしょう。結局それはデジタルTVの仕組みそのものが、将来ITやネットワークの中でオープンに発展していくような事を想定したシステムに全くなっておらず、その不便さへの不満の声も封殺してきたことと、根っこのところで同じだと思います。"ムラ"の中の掟で物事を決め、"部外者"の建設的な意見にも懸念にも"パブコメ"の場を設けて適当にあしらいながら聞く耳を持たなかったからこそ、このような脆弱なシステムが生まれてしまっているわけで、構図は原子力産業と全く同じです。

ホントのところ(グローバルな競争に負けて表舞台から退場することを余儀なくされる前に業界の改革を実現して)、コピー制御などから解き放たれたREGZAやDIGAの技術を観たいですね。汎用ネットワーク上で機能をいくらでも追加できるとか、APIが公開され数多くの技術者に支持されてアプリを”物好き”や新興企業が競いながら発展していくとか。

昨今家電メーカーの人減らしで多くの経験豊富な技術者が開発現場を去ったりしているのですが、そうした人々に蓄えられた技術力は本来次の革新を生む原動力になり得るのですから、意味のない業界ルールや規制を極力なくしてベンチャーによる新しい挑戦ができる舞台を用意することが重要だと思います。 (そういう状況で大企業が残している「有能な」技術者は大抵上の意見に逆らわない「毒にも薬にもならない」タイプなので、実際に人が減っている割合以上に大企業の創造的活力は失われている筈です。)
既存メーカーがTV事業から撤退しつつあるような状況を放置すると、コンピューター産業や半導体産業と同じく、わずかな企業のみが国内向けに細々と存続するのがやっとの状態になり、将来に何も残さなくなってしまいます。
こういう時に必要なのは既存メーカーが「撤退の責任」を取らずに済むよう守っていくことではなく(それではエルピーダ等の二の舞です)、もし大企業の事業として重荷になっているのであれば一旦関連事業や工場をきちんと清算させた上でコアになる企画・設計部門を目的別に独立させ知的所有権も移管し、国内外の新参者が対等に組む技術者集団としてのビジネスを成立させるような、新しい舞台の用意に知恵を絞ることこそが重要で、海外企業にそのまま売るのではなく独立したベンチャーとして投資家に"売る"形にしないと、単なるリストラや解体一本釣りプロトコルになってしまいます。
現に今までの事例では最初から意図したものか結果論かは関係なく、9割方がそうなっていますね。現在進行形のものも「ソニーとパナソニックが手を組んだ歴史的な合弁事業」とか「日立東芝ソニーの中小型液晶子会社を統合」とかいう話は、単に本社を守りながらいつでも切り捨てられるようにしているだけではないでしょうか?生産部門まで統合するのは 1+1=0.5 ぐらいの縮小再生産にしかならない単なる”投げ出し”なのは、エルピーダ、ルネサス等の例でも判ってる筈ですが。
そんなやり方で経営陣を守るのではなく企業の創造性の源だった人材を身軽にして、今まで彼らの新しいチャレンジを阻んでいた重しやしがらみを解消していく方法のみが、その分野に蓄積されたスキルを再生していく道なのではないかと。

中国アジアの低コストにはとても勝てない、という話はありがちですが、それらに小手先の製造技術で太刀打ちできなくなっているのは欧米企業も同じで、それでも成長企業を次々に生んでいるのはそれぞれにベンチャーが芽を出し成長できるような風土とオープンな国内マーケット、およびグローバルなコミュニティの一員としての積極的な参画があり、そこでの成功がグローバルに勝負する力に直結しているためです。
必要なのは安い労働力や資金力ではなく(それらは探せばグローバルに調達することができます)、ユーザーのニーズを嗅ぎ取る能力と、主従関係ではなく相補関係のコミュニティを積極的に活用してトレンドの技術を素早く取り込み、いち早くユーザーやコミュニティの支持を得てデファクトスタンダードを作ってしまう能力で、これは長い経験を持ち、常にユーザーの近くに居て「知識」ではなく長く培われた「文化」からくる「ニーズを先読みする能力」に長けた「先進諸国」のベンチャーだからこそ大きく差別化できるポイントです。(かつ、今まで島国の中の"絆"で成長してきた日本企業が、共同体の中の主従関係だけで"そこそこ"のものが生み出せていたがために軽視していた価値観です。まあ、かつて日本の安くて高品質な製品に太刀打ちできなくなった欧米の産業界が、それに打ち勝つ価値観を生み出すことで甦ったとも言えますが、もはや時計の針は戻りません。)

例えば半導体ステッパー/スキャナー(半導体製造プロセス基幹の部分)でキヤノンやニコンから主役の座を完全に奪い取った欧州のASMLは、決してツァイスやフィリップスのような伝統的な欧州企業に管理された子会社ではなくEUの"国策"企業でもない独立したベンチャー企業としてスタートしているのですが、台湾のTSMCなどを含めた多くの企業やヨーロッパの学際組織との対等な関係とオープンな情報交換でWin-Winの関係を築き、最新の技術とニーズをいち早く取り入れていくことで、品質では圧倒的に強かったはずの日本企業の地位を21世紀の10年足らずの間に完全に奪い取りました。そこには欧州の人件費が高いとか半導体不況だからといった言い訳はありません。欧州拠点の企業にしかできない事は何か、どうすればアジアの企業が単なる下請けや顧客ではなく強力なパートナーになってくれるのか、勝つべき相手の日本企業が(日本国内での業界常識に拘るために)見落としていることがあるとすれば一体何か、というあたりを徹底的に推し進めた結果が現在に繋がっているように思います。そうやって日本の産業はコストではなくニーズに応えられなくなったことで追い落とされている、という現状を認識する必要があると思います。大企業や業界のしがらみを急速に解いていかないと、現在進行形のテレビ産業を含め多くの産業が早晩同じ運命にあるのでしょう。ちょっと話題それました。。

テレビ周りの産業も過去の成功体験から来る独りよがりな発想を捨て、業界環境をオープンに変えていくことが何よりも重要だと思えます。ここまでコモディティ化するとたかがテレビじゃないか、という声もあるかもしれませんが、本来デバイスとしてのテレビを見れば家庭内ITの核となる可能性を未だ秘めているわけで(なにしろ普通の家庭で最も頻繁に使われ管理される情報はやはり映像情報なわけで)、もし映像機器の延長上という固定観念を捨ててPCやIT技術との親和性を徹底的に推し進めれば、そこに大きなアプリケーション領域が発展する可能性があります。しかし日々進化していくITの文化と共生していく道を日本の電機メーカーや放送業界は頑なに拒んで排除し、それを業界の常識として疑うことすらできない”しがらみ”が見えるわけです。

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